- コナガヤ
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こんにちは。
私konagayaは、社内ではあまり知られていないが、実はキャンプ好きである。
両親がアウトドア好きだったという影響もあり、週末は親に連れ添ってキャンプに出掛けていた。
さて、そんな自分でもここ15年くらいはキャンプから遠ざかっていたが、ここ最近登山をする機会が何回かあったため、登山用品店に足を運ぶことがあった。
そんな中で、最近やたらと目に付くロゴあったので、どんなメーカーのロゴなのか調べてみたら、実はすごい優良企業のロゴだったことがわかった。
今回はそんな会社をひとつ紹介させてもらいたい。
新潟県三条市に本社を構えるスノーピークというアウトドアメーカーをご存じだろうか。
※出典:スノーピーク
このスノーピーク、なんと東京ドーム6個分の敷地に本社があり、敷地内がキャンプ場になっている。
もちろん一般の人もキャンプすることができる。
スノーピークは、このキャンプ場で手軽に体験できるサービスを展開している。
その名も”手ぶらキャンププラン”
食べ物さえ買ってくれば手軽にキャンプの醍醐味が体験できるというのだ。
もちろん、貸し出しされるキャンプ用品はスノーピーク製だ。
これによりスノーピーク製品の良さを体験してもらう狙いだ。
敷地内には、超が付くほどキャンプ好きのスノーピークの社員も日常的にキャンプを楽しんでいると言う。
社員が頻繁にキャンプ場にいるため、実際にスノーピークの製品を使った感想をお客からフィードバックしてもらうことができる。
また社員自体がユーザーであるため、日常的に自社の製品を使い込んでいる。
つまり、製品をより良くするためのサイクルが生まれる環境が身近にあるということになる。
製品の改善サイクルが早いことは競合他社と戦っていく上で優位となる。
社長を含め社員は年間70日以上キャンプをする。
なんと雨の日でもキャンプする強者までいるそうだ。
そうやって過酷な環境で製品の耐久性をチェックしているとのこと。
テントから出社する社員もいるそうだ。
自分たちを変態と呼ぶほど超キャンプ好きの社員たち。
そんなスノーピークだが、創業は1964年と意外と古い。
スノーピーク製品を愛用するユーザーは、自分自身ををスノーピーカーと呼んでいる。
スノーピーカーになった多くの人は、いろんなアウトドアメーカーを使ったあげく、最終的にスノーピークになってしまった言う。
とはいえキャンプ用品はモンベルやコールマンなど競合が多い。
キャンプ人口は年間800万人前後と、ここ10年ほぼ横ばいである。
しかし、スノーピークはここ10年で売上を伸ばしているのだ。
なぜそこまでスノーピーク製品が選ばれるのだろうか。
スノーピークの製品はどれも相場より高い。
このスノーピーク製のテントは1人~2人用でスノーピークの製品の中では最もスタンダードなテントである。
スノーピーク(snow peak) AMENITYDOMES [1~2人用] SDE002
約26000円
スノーピークのテントは一般的なテントと比べ6倍もする。
一方、1人~2人用のテントの相場は1万円未満で買える。
EXELUX(エグゼラックス) ワンタッチテント [1-2人用] NBBT-BG
約3800円
BUNDOK(バンドック) ツーリングテントAグリーン×Wベージュ [1~2人用] BDK-17
約4000円
昔スノーピークは、その当時のテントの相場が2万円前後だったのにもかかわらず、16万円のテントを作り販売したことがある。
コストは考えないで本当に自分たちが求める究極のテントを作った結果、その値段になったそうだ。
社内では「売れないだろう」と言う声が多かったそうだが、実際は100張も売れたという。
“客を感動させる究極の製品“を作れば認めてもらえる。
そう創業者は確信したと言う。
スノーピークには、テントの中でバーベキューができるなど常識破りの製品がある。
この製品は、テントの上から煙が逃げることで雨の日でも快適にバーベーキューを楽しむことができる。
snow peak(スノーピーク) ラウンジシェル tp-500
約13万円
社員がユーザーでもあるため、自分たちが本当に欲しい商品を作り、それが製品に反映された形だ。
そんなスノーピークにも危機的な時代があったという。
一時のキャンプブームが去り、6期連続で減収となった。
ユーザーの生の声は、
「スノーピーク製品はものは良いけど高すぎる」
「店に行っても商品の品ぞろえが悪い。欲しい商品が置いてない」
だった。
その声に社長である山井氏は解決策をひとつひとつ実行していった。
まず、流通面では問屋との取引を全廃した。
その結果製品価格を2割下げることができた。
また、製品を取り扱ってくれる販売店を1/4に減らした。
正規特約店とだけ契約を結び、少ない店舗ながらも多くのスノーピーク製品を置いてくれる店を確保した。
それにより1店舗で充実した品ぞろえを確保できるようになった。
販売面では、店舗に社員を常駐させ魅力を効率的に伝えることができた。
さらに、直接的に収益にならないアフターサービスも充実させた。
製品の永久保証制度を導入し、製品の修理も店舗に常駐している社員である程度できるようにした。
ユーザーはわずか数十分で、製品を持ち帰ることができる。
そういった戦略が功を奏して、スノーピークの売り上げはV字回復。
34億円まで回復した。
2013年時点で調べたところでは、5期連続で売上高増で41億円となっている。
どんな企業でも利益を追求することは当然だ。
しかし、ユーザーとしてみれば買ったあとのアフターケアの方が大事なときもある。
スノーピークは目先の利益にとらわれることなく、お客との信頼関係を築いていく中で、長期的に利益を生み出せる会社になっている。
ユーザーからも社員からも愛される会社は、ユーザーのみならず多くの経営者にとってもお手本となる経営と言えるのではないどうか。
◆まとめ
やりたいこと、やらなければならないこと、できることの3つが重なっている会社は強い。
スノーピークのやりたいことは、いいキャンプ用品を作ること。
やらなければならないことは、いいキャンプ用品を作って売って収益を上げること。
できることは、いいキャンプ用品を作れること。
なぜなら、ユーザーからのフィードバックが身近にあることと。
また、社員自身がユーザーであることも強みと言える。
さらに追い風となるのが、スノーピークの本社がある三条市は金属加工に長けた中小企業が多い町でもある。
そういった中小の会社がスノーピーク製品の生産を支えている。
こういった要素が重なり合っているからこそスノーピークは強い企業であり続けるのではないだろうか。
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